医療?健康
競泳スタート時に手足の関節に働く力のメカニズムを解明
(Image by Andrey Burmakin/Shutterstock)
高木 英樹 教授
東京女子体育大学体育学部体育学科
酒井 紳 講師
100分の1秒を争う競泳の短距離競技において、スタート局面は非常に重要です。競泳のスタートでは、後足の力が前に跳び出す速度に、前足が上に跳び出す速度に関わっていることが知られています。しかしながら、この力が、体のどのような動きによって獲得されているかは分かっておらず、効果的なスタートの練習方法なども確立されていません。そこで本研究では、両手両足が発揮する力を独立して計測できるスタート台と、3次元モーションキャプチャーシステムを併用して、選手が関節を曲げ伸ばしする力の大きさ(関節トルク)を算出し、スタート台から跳び出す際のバイオメカニクス的原理を解明しました。
その結果、後足の力には、股関節を伸ばす力が重要であり、次いで足関節、膝関節の順に貢献していることが明らかになりました。前足には台上動作の前半では股関節を伸ばそうとする力が非常に強く働きますが、スタート台から飛び出す直前には、膝関節と足関節を伸ばす力が大きくなることが分かりました。つまり、前足は、スタート動作の間に、重要となる関節が変化することになります。手でスタート台をつかむことで発揮していた力には肩関節が最も大きく関与しており、この力はスタート台を押すだけでなく、頭を下げた姿勢で水中に跳び込むための姿勢制御に利用されている可能性が示されました。
これらの結果を用いて、より高い跳び出し速度を獲得し、スタート台上から素早く跳び出すためのトレーニング方法を開発できる可能性があります。
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プレスリリース研究代表者
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東京女子体育大学体育学部体育学科
酒井 紳 講師
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