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非晶質炭酸マグネシウムは構造を自在に変える?二酸化炭素地中貯留のキーマテリアルの特性を解明?

研究イメージ画像 (Image by Yes058 Montree Nanta/Shutterstock)

 大気中の二酸化炭素濃度を減少させる方法の一つに、地下水に二酸化炭素を混ぜて圧入し、周囲の岩石と反応させて炭酸塩鉱物(石灰岩)として固定する「二酸化炭素地中貯留」という方法があります。二酸化炭素を長期的かつ安全に固定する方法として期待されています。


 主要な炭酸塩鉱物の一つに、マグネサイト(MgCO3)という無水の炭酸マグネシウムがあります。しかし、熱水環境でない場所では形成されません。低温環境では、非晶質の炭酸マグネシウムを経て、水分子が付加した結晶性炭酸マグネシウム水和物が形成されます。炭酸マグネシウム水和物は温度が上がるにつれ、ネスクホナイトからダイピンガイトを経てハイドロマグネサイトへと結晶構造を変えることが知られていますが、前駆体である非晶質の炭酸マグネシウムの構造や温度依存性の有無などはよく分かっていませんでした。


 本研究では、大型放射光施設「Spring-8」などを使った実験により、非晶質炭酸マグネシウムの構造と温度依存性を解明しました。二酸化炭素地中貯留の重要な基礎データとなります。


 非晶質炭酸マグネシウムは、温度が上がるにつれて含水量が減少する傾向を示しましたが、原子配列の中距離秩序構造は大きな変化を示さず、ハイドロマグネサイトの構造と同一であることが明らかになりました。一方、非晶質炭酸マグネシウムのMg周囲の短距離秩序構造(配位環境)は、温度によってわずかに変化することも判明しました。このことから、非晶質炭酸マグネシウムは、20℃の低温環境ではネスクホナイトとハイドロマグネサイトの両方の構造的特徴を備えたハイブリッド構造であることが示唆されました。


 本研究チームは、二酸化炭素排出をゼロとする脱炭素社会の実現に向けて、今後も二酸化炭素の炭酸塩鉱物化の研究を進めていきます。


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プレスリリース

研究代表者

365体育投注生命環境系
興野 純 准教授

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