生物?環境

時間?空間?食性ですみ分ける佐渡島のヘビたちの共存メカニズムを解明

研究イメージ画像
(photo by Kiyoto Sawada)
 佐渡島には、南西諸島を除く日本の島で最多の7種のヘビが生息しています。ここで5年間にわたるフィールド調査を行い、ヘビの種ごとの生態を調べました。その結果、餌の種類を他種と違えることだけでなく、活動時間や場所の違いも、多種のヘビが共存するための重要な要素であることが分かりました。

 多種多様な生物が共存するしくみを説明する上で、活動時間や場所、餌生物といった資源を他種と違える「ニッチ分割」は、最も基本的かつ重要な生態学的概念です。ヘビ類では、餌資源の分割が多種共存を可能にする主要因とされてきましたが、活動時間や場所の重要性も指摘されています。しかしながら、陸棲ヘビ類において、これらの主要な3資源(時間?空間?食性)のニッチ分割を包括的に調べた研究は、これまで行われていませんでした。

 本研究では、南西諸島を除く日本の島の中で最もヘビの種数が多い佐渡島を調査地として、5年間にわたって、そこに生息する7種のヘビ(シマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシ、ニホンマムシ、ジムグリ、ヒバカリ、シロマダラ)が、いつ、どこで活動し、何を食べているのかを明らかにしました。

 その結果、餌資源の重複が大きい種間では、生息地や活動時間帯、活動季節などの重複を小さくするニッチ相補性が確認されました。

 本研究により、陸棲ヘビ類が複数の資源を使い分ける「多次元ニッチ分割」により共存していることが、実証的に明らかになりました。このことは、世界的に衰退傾向にあるヘビ類を保全するためには、さまざまなタイプの資源を守っていく必要があることを示唆しています。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注生命環境系
澤田 聖人 助教

新潟大学佐渡自然共生科学センター
阿部 晴恵 准教授

掲載論文

【題名】
Multidimensional Niche Partitioning Allows Coexistence of Multiple Snake Species.
(多次元ニッチ分割が複数ヘビ種の共存を可能にする)
【掲載誌】
Journal of Zoology
【DOI】
10.1111/jzo.13259

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