社会?文化

大学における性的マイノリティ学生の支援に関する指標を作成

研究イメージ画像
(Image by PeopleImages.com Yuri A/Shutterstock)
 性的マイノリティ学生の支援に関して、大学が取り組むことが推奨される内容を47項目にまとめた「LGBTQ学生支援指標」を作成しました。大学での性的マイノリティ学生への取り組みの推進が全国的に求められるなかで、その実現に向けた具体的なツールとして活用されることが期待されます。

 「LGBT」や「LGBTQ+」とも総称される性的マイノリティについて、日本国内にも人口の1割弱ほどの人々が暮らしていることが分かっています。先進諸国に比べ、その理解や支援の遅れが指摘されてきましたが、2023年にはいわゆる「LGBT理解増進法」が成立し、今後は大学など高等教育の場においても早急な取り組みが求められています。しかし、国内の一部の大学を除き、全国的にはまだまだ取り組みが普及していません。その原因の一つとして、各大学が取り組みを進めるための目安となる、具体的な指標が示されていなかったことが挙げられます。

 本研究では、国内外のさまざまな取り組みを踏まえながら、先進的な大学の支援担当者や当事者学生への調査をもとに、大学が取り組むことが推奨される内容を47項目にまとめた「LGBTQ学生支援指標」を作成し、その信頼性と妥当性を検証しました。この「LGBTQ学生支援指標」は、大学全体の方針や体制など「組織」に関する7項目、施設?設備や意識啓発?居場所など「場」に関する12項目、名簿情報や授業での対応など「学生」に関する28項目から構成されており、その妥当性とともに再検査信頼性や内的整合性も十分な値であることが確認されました。

 今回作成された「LGBTQ学生支援指標」は今後、全国的に大学で求められる性的マイノリティ学生への支援に関して、これから取り組みを始める大学にとってはその実現に向けた具体的なツールとして、既に取り組みを進めている大学にとっては自己点検のためのツールとして活用されることが期待されます。なお、指標を実践的に活用するために作成したガイドブックも併せて公表しています。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

365体育投注 人間系
河野 禎之 助教

掲載論文

【題名】
大学におけるLGBTQ学生支援に関する指標の開発と信頼性および妥当性の検討:当事者学生との協働を通じて
【掲載誌】
大学改革?学位研究
【DOI】
10.32175/kaikakugakui.2025.26006

関連リンク

人間系