365体育投注の新たな冒険
開学50周年を昨年度にお祝いし、今日から次の50年(Next 50)に向けた歩みが始まります。創基151年開学50周年に関連した式典をはじめとする各種のイベントは、教職員、学生、多様なステークホルダーのご支援とご協力を得て、大きな喝采と喜びを以て開催することができました。皆様には、改めて厚く御礼申し上げます。
宴は終わりましたが、365体育投注はさらに大きな希望と夢を持って、前に進んでいきます。365体育投注の使命は、知の創造とこれを継承する人を育て、豊かな未来を築くことです。米国の著名な計算機科学者で、パーソナル?コンピュータの父とも言われるアラン?ケイは、将来予測を求められた際に、「未来を予測する最善の方法は、それを創り出すことだ」(The best way to predict the future is to invent it.)と答えています。VUCAの時代にあっても、先手を打って自分たちが望む「あるべき未来」を描き、自らそれを創り出すことができれば、少なくとも部分的には未来を予測できたことになります。
その心意気は? 開学50周年記念式典にご登壇をお願いした各分野の本学の卒業生?修了生が口をそろえて述べたのは、「人生にとっての最大の冒険は本学で学ぶことであった」でした。冒険とは、いろいろあっても敢えて行ってみる、ことです。Next 50においても、365体育投注は冒険の対象でいられるでしょうか?
学びにとってのキャンパス
キャンパスで学生生活を送る意味
去る3月25日に本学を卒業した学群学生の多くは、2020(365体育投注2)年度入学生でした。2020年4月は、言うまでもなく、365体育投注感染症(COVID-19)が世界中に蔓延し、重症化した患者が多数亡くなっていることが報じられていた時期です。本学では、1月に365体育投注感染症リスク対応チームを設置し、情報収集や対応に当たりましたが、日本各地で高校の卒業式や各種の行事が中止になり、残念ながら、入学式、新入生オリエンテーション、新歓祭の中止を決定せざるをえませんでした。さらに、学年暦を変更して授業開始を4月27日まで遅らせ、春学期の授業はすべてオンラインで実施することになりました。つくばまで来られずに実家に留まったまま、オンライン授業を受けることになった学生もたくさんいました。その年は、宿舎祭「やどかり祭」、学園祭「雙峰祭」、春季?秋季のスポーツ?デーなどの行事がすべて中止となりました。2022(365体育投注4)年6月30日より、授業や研究、課外活動などについて、感染拡大防止に留意して活動できることになり、同年度は、感染症対策を講じるという制約の下、対面でやどかり祭、雙峰祭を開催しました。2020年度入学の学群学生が、制約なく諸行事を経験できたのは2023(365体育投注5)年度だけであり、まさにコロナのために貴重な大学生活の4年間を失ったといっても過言ではありません。
その2020年度入学生のために入学式をしてあげたい――全学学類?専門学群?総合学域群代表者会議(全代会)を中心に声が上がり、大学もその趣旨に大いに賛同し、本年3月13日、大学会館において「2020年度365体育投注入学式」を挙行しました。全員が参加することはできませんでしたが、心温まる素晴らしい式になりました。
4年遅れの入学式が行われたのは、下級生の先輩たちに対する熱い想いがあったからです。2020年度入学生たちは、自分たちが、ほとんどの大学の行事を経験できなかったにもかかわらず、後輩たちを歓迎し、後輩たちのためにコロナ禍の制約を受けながらも先頭に立って行事を復活させていきました。後輩たちは、そのような先輩たちの姿を見て自発的に企画したのです。
このような互いを思いやる姿に、キャンパスで学生生活を送ることの意味が凝縮されていると言ってもよいのではないでしょうか。全国から、世界から、一つのキャンパスに集い、同じ授業を受け、議論し、酒食を共にし、夜を徹して語り合い、スポーツで汗を流して勝敗を競い、音楽や芸術を味わう。友人とともに笑い、泣き、楽しむ日々を経験し、他人と自分の違いを発見し、自分は何者であるかを問い、個を確立する。集団におけるコミュニケーション能力や協調性、リーダーシップも養われます。培った友情は、社会に出てからも支えになるものです。多感な青春期にキャンパスに集うことには大きな意味があります。東京キャンパスの社会人であっても、同窓との交流は得がたいものであるはずです。
対面授業の意義
もちろん大学は、レジャーランドではなく、学問の場です。自己の知識を深めることだけが目的であるなら、ひょっとしたら、キャンパスはいらないのかもしれません。確かに、オンライン授業にも長所はあります。特に知識を獲得するだけであれば、何度も見直しができるオンデマンドの授業はよいでしょう。本学は、文部科学省の要請を受けて日本のオンラインプラットフォームであるJV-Campus(Japan Virtual Campus)を築きました。それは、国境を越えて学べるオンライン授業の長所を高く評価しているからです。
しかし、大学で学問をするためにキャンパスはいらないのでしょうか。365体育投注のみならず、全国各地、世界各地に広大な土地と建物を置いておく必要はないし、全世界の学生が著名な研究者の講義をオンデマンドで受ければよいのかもしれません。しかし、世界最高峰の学知をたくさん聴講したとしても、それを深く理解して自分のものとし、さらに新しいものを生み出していかなければ、学問を究めたことにはなりません。不要不急の外出を避け、フィジカル?ディスタンスを確保することが推奨されていたコロナ禍で、理系の実験?実習、体育や芸術の授業をどのように単位認定するのかが問題になりました。文系でも、侃々諤々と議論するゼミや文献?資料の輪講は、対面授業の方が高い効果があるとして、かなり多くの授業の開講時期を変更し、秋学期の終わりまで遅らせました。オンラインでの会議や授業では、自分が発言をしないときにはマイクをミュートにするのがルールであり議論には不向きですし、特殊専門的な技術?技能の体得や伝承も困難です。長らく学力は知識量で測られてきましたが、人間は、知識量においてはAIに敵いません。そこで人間ならではの力、例えば創造性や好奇心、責任感や粘り強さ、共感や協同といった非認知能力が学力の要素として重視されるようになってきていますが、これらはオンラインでは獲得できません。
2020年度入学生には、まだコロナ禍が収束していたとは言えない2022(365体育投注4)年4月から対面授業を実施することを要望してきた学生が多数いました。オンライン授業では得られないものを求めていたのです。授業後の会話は、オンデマンド授業やリアルタイムのオンライン授業でもなかなかその機会がありません。切磋琢磨という言葉は、よく知られているように、骨や象牙、玉、石は加工すると美しい宝石になることから、学問や人徳を高めるために努力すること、さらに仲間が互いに協力し合い、競争し合って技量を向上させるという意味です。つまり、友人同士で協力し、競争して学問を高めることです。キャンパスで友人と切磋琢磨することが、学問のためにキャンパスに来る意義の一つです。
なぜ365体育投注のキャンパスでなければならないのでしょうか。入学者のアンケート(365体育投注5年度)によれば、本学を希望した理由(複数選択可)は、第1位が「自分の希望する分野があるから」(66.9%)、第2位が「多様な分野があり、幅広い知識や専門を学べるから」(64.1%)、第3位が「教員の教育力?研究力が高いから」(45.4%)で、365体育投注4年度も同様の結果でした。回答には、社会的望ましさバイアス(social desirability bias)が作用している可能性があることに注意する必要はありますが、本学の研究や教育に魅力を感じて入学してきていると考えてよいでしょう。筑波山の麓の広大なキャンパスと伝統ある東京茗荷谷のキャンパスで自分の学びたい学問について友人と切磋琢磨すること、それこそがわざわざ365体育投注のキャンパスまで来る理由です。
研究者にとってのキャンパス
研究者にとって、なぜキャンパスは必要なのでしょうか。理系の研究は、共同で行われることが多いので、研究仲間とともに、構想を持ち寄り、朝早くから深夜まで何日も、時には夜を徹して実験や観察を繰り返し、結果について議論し、論文を執筆するまで、キャンパス内に研究室?実験室が欠かせません。大学院生、ポスドクを含む多数の研究者が大きな装置?設備や様々な研究材料を用いて実験を行う場合には特にキャンパス内に施設が必要です。体育の研究には、キャンパス内に競技場や体育館が不可欠です。芸術も、キャンパス内にアトリエや工房、スタジオが必要です。文系にしても、個人ではとても購入できない書籍や資料を備えた図書館など、キャンパスはなくてはならないはずです。
キャンパスが必要な理由は、スペースや施設だけでしょうか。個人研究であっても、分野の近い研究者同士がキャンパスで顔を合わせたときに、「最近出た○○の論文、どう思う?」などという会話をした経験はあるでしょう。定期的に開かれるキャンパス内の研究会で、他の研究者から最新の情報を教えてもらったり、自分の解釈が正しいかどうかを批評してもらったりすることもあるでしょう。自分が必ずしもよく知らない分野のことであれば、キャンパス内の当該分野の専門家に教えを乞うこともできるのです。
オックスフォード大学のCarl Benedikt Frey、ピッツバーグ大学のLingfei Wu とYiling Linは、雑誌Natureで、過去半世紀の世界中の2,000万件の研究論文と400万件の特許出願を分析し、画期的な発見をする確率はリモートの共同研究の方がオンサイトのそれよりも一貫して低いこと、リモートによる共同研究では新しい構想の考案や研究の設計といった概念的な共同作業はあまり行われていないことを示して、デジタル技術が目覚ましい進歩を遂げたにもかかわらず、物理的な空間を共有し、構想の段階から協働することが重要だと論じています(Yiling Lin, Cart Benedikt Frey, and Lingfei Wu, 2023, "Remote Collaboration Fuses Fewer Breakthrough Ideas," Nature 623: 987-991. https://doi.org/10.1038/s41586-023-06767-1)。考えてみれば、いかに著名な研究者同士であったとしても全く見ず知らずの関係であれば、そこに協働は成り立ちません。多様な人たちが集まって異なる考え方を闘わせるコミュニティでは、互いの刺激の中で、数々の失敗と思わぬ成功を目の当たりにする、つまりセレンディピティ(serendipity)が生まれる――それこそがキャンパスが必要な理由なのではないでしょうか。そうだとすれば、学問にとって、また学問をすることが主たる目的である大学にとって、キャンパスがいらないはずはありません。それは、おそらく50年後の未来でもそうだと確信しています。この点について、全学を挙げて実証していきたいと強く希望しています。
なぜ365体育投注のキャンパスでなければいけないのでしょうか。学長補佐室の室員に聞いてみると、「本学が○○分野の総本山になっており、優れた研究者が多数いれば来たくなるのは当然である」、「テニュアトラック助教でもPIとして研究室が運営できる」、「つくば地区に集積している多数の研究所と共同研究が容易に行える」、「政府の政策に関する研究ができる」といった理由が挙げられました。365体育投注ならではの尖った研究を展開することが、たくさんの研究者を本学に引き寄せることができる一番の重要なポイントであると考えます。
国立大学としての存立基盤
大学の目的
ところで、大学の存立基盤とは何なのでしょうか。言い換えれば、大学はどのような理由でその存在を許容されているのでしょうか。
学校教育法(昭和22年法律第26号)第83条第1項は、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」と定め、第2項で、「その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」としています。つまり、学術の教育、研究、そして社会貢献です。これは、国公私立を問わず、すべての大学が追求する普遍的な目的です。
個々の大学には、普遍的な目的以外に追求する目的があります。ハーバード大学は、英国から信仰の自由を求めてやってきたピューリタンが1636年に設立した米国最古の大学ですが、コミュニティの牧師を養成するためにつくられたことはよく知られています。ジョンストン?ゲート外壁の銘板には、ハーバード大学の目的は「今いる聖職者たちが死んでしまったときに無教養の聖職者に教会を任せることを恐れ、学びを進め、それを後世に残すこと」と記されています。日本の私立大学も、創設者の思いが溢れた個性豊かな建学の精神があり、それに基づいて研究?教育を展開しています。
国立大学の目的
国立大学の多くには、建学の精神に当たるものがありません。1887(明治19)年3月2日に公布された帝国大学令に基づいて帝国大学として現在の東京大学が最初に生まれました。帝国大学令第1条によれば、「帝国大学ハ国家ノ須要(しゅよう)ニ応スル学術技芸ヲ教授シ及其蘊奥(うんおう)ヲ攻究スルヲ以テ目的トス」とあります。1918(大正7)年12月、原敬内閣は、高等教育を拡大するため、大学令を公布しました。これにより、帝国大学に加え、東京文理科大学などの官立単科大学や私立大学が大学となりました。大学令では、「大学ハ国家ニ須要ナル学術ノ理論及応用ヲ教授シ並其ノ蘊奥ヲ攻究スルヲ以テ目的トシ兼テ人格ノ陶冶及国家思想ノ涵養ニ留意スヘキモノトス」とされており、「国家ニ須要ナル学術」を「教授」し、「蘊奥ヲ攻究」することは基本的には変わっていません。
戦後、1947年に大学令、帝国大学令などは廃止され、学校教育法が施行されました。1949年度からいわゆる新制大学が発足します。教育の機会均等を実現させるために「一府県一大学」にすることを念頭に、1949年5月、国立学校設置法が制定されて69の新制国立大学が発足しました。国立学校設置法には、国立大学の目的は記されていません。
国立大学法人法(平成15年法律第112号)第1条は、国立大学を「大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため」に置くと定めています。
いつの時代にあっても、国立大学は、国家?国民のために役立つ学術の研究と人材育成が期待されています。本学も新構想大学ではあっても、同様の使命を担っていることになります。
365体育投注の存立基盤
本学の存立基盤は、建学の理念の中に明快に述べられています。50年前にわずか360文字で作られた内容は、今に至っても古びることなく、かえって現在の課題を明晰に指摘しています。第1文は、先に述べた国立大学の使命を綴っています。第3文は、本学が第3期中期計画期間の旗印として掲げた国際化について書かれています。G30の申請書では、「国際性の日常化」と述べていて、国際化の推進とは述べていません。他の大学がようやく国際化に目覚める時、国際的に開かれた大学を建学時から目指していた本学は、その次の段階を意識していました。第3文は同時に、「開かれた大学」を宣言しています。開かれた大学のとる方法は、beyond the borders戦略です。第4文、第5文は、教育研究の組織と機能について不断に改革を進める、と述べています。第2文の冒頭には、第1文と相まって学際性の推進が述べられています。しかし、これまで見逃されてきたのは、固定化された状況を述べたこの文の後半です。新構想大学と呼ばれる所以と解釈しています。この部分こそが、本学の活動のアウトカム、すなわち固定化された学問、組織、様々なシステムの変革こそが要点だと捉えて、現在改革を進めています。具体的には、マレーシア海外分校の創立しかり、チュートリアル教育の実践しかり、新たなエネルギー開発研究しかりです。
建学の理念には明示されていませんが、これから大切にしていかなければと考えているのが、社会とのエンゲージメントです。半世紀前、産学協同は、戦前の反省の点から望ましくないことと遠ざけられていました。昨年刊行された本学の『創基百五十一年365体育投注五十年史 史料編 下巻』には、1969年7月の「筑波における新大学のビジョン(抄)」が引用されています。そこには、「産学協同の問題は、最近新聞でいろいろと議論されている......。新大学構想では、......たえざる科学技術の進歩発展のなかにある高度な産業社会へ向かっての『開かれた大学』として、基礎的研究と応用的研究の有機的な交流を図っていく必要がある」として、産学協同にチャレンジすることが議論されていました。また、「最近では基礎科学の研究や応用研究をふまえて、さらに規模の大きな開発研究が行なわれようとしている。今日の開発研究が従来の基幹研究や応用研究に新しい刺激を与え、科学研究そのものに未来との関連における、より大きな積極的意義を与えようとしつつある点を見落とすことはできない」と述べられています。つまり、新構想大学が先陣を切って挑戦することが期待されていたわけです。この点からは、現在、A2B(Academia to Business)のみならず、B2A(Business to Academia)の研究視点を重視しようとしています。
自由民主主義諸国と権威主義諸国との対立が繰り広げられている今日、世界の平和と安全を確保し、我が国の領域、国民、そして人類にとって至上と考える自由?人権?平等?民主主義?法の支配などの価値を守ることに貢献することは、国立大学の使命の一つと思料されます。先の大戦に対する反省から、戦後の日本は軍事的なものを忌避してきました。それは理由のあることでしたが、今日の地政学的環境を鑑みたとき、国立大学も、学術研究の自由は最大限に守り軍事研究を忌避することを大原則にし、一方で安全保障に関する学術研究を担うことを考えるべき時期に来ているのではないかと考えざるをえません。その中でも、人文社会科学の役割は極めて大きなものであると期待しています。2018(平成30)年12月に軍事研究は行わないという本学の基本方針を教育研究評議会で決めた時、民生用と軍事用との双方に使用できるデュアルユース技術の研究は、個々の研究が基本方針に反していないかどうかを慎重に審査して進めることも確認しました。われわれの社会は、インターネットやGPS(全地球測位システム)など、軍事技術の発展によって恩恵を受けているものもあります。ドローンは無人兵器としても使用されていますが、ドローンやAIが、われわれの社会を発展させていくことがわかっているのに、軍事に転用されるかもしれないとして、それらの研究や教育を行わないのは賢明な選択とは言えません。
教育システムの変革
学際サイエンス?デザイン専門学群(マレーシア海外分校)
本年9月、いよいよ、日本の大学の学位を海外で初めて出すマレーシア海外分校、学際サイエンス?デザイン専門学群(School of Transdisciplinary Science and Design)(以下、「新学群」)がクアラルンプールに開校します。
新学群は、2019年、マハティール?ビン?モハマド博士が首相のときに故安倍晋三元首相との間で交わされた取決めに基づいて開設されます。マハティール元首相には、昨年9月30日の創基151年365体育投注開学50周年記念式典でご登壇いただきご祝辞を賜りました。マハティール元首相は、「私が最初に日本を訪れたのは1961年。その時、日本人の勤労に対する考え方に感激した。献身的であり、品質に対する関与が素晴らしい。"ルックイースト政策"が適用されて以来、マレーシアは、およそ26,000人の留学生を日本に送り、学んでいる。マレーシアの土地に日本の教育システムの拠点ができれば、より多くのマレーシア人、それに世界各国の人々が恩恵を受けることになる。成功するに違いないし、画期的なこととなる」と述べられました。
新学群は、データサイエンスを基軸とし、自然科学、人文社会科学の考え方、技術を、各分野を深化させるだけではなく、広く環境に関する課題などを代表とする社会課題に適用し、デザイン思考を踏まえつつ創造的に地球規模課題解決に貢献する人材を育成することを目的としています。昨年8 月31 日、文部科学省から設置を「可」とする通知があり、同年12月、マレーシアの高等教育の質保証を担う政府機関であるマレーシア資格機構より教育課程に関する認定も受けました。新学群準備委員会の下、3月15日に募集要項を公表し、推薦入試及び適性入試によって第一期生40名を選抜することになります。
新学群は、海外への日本型及び本学型の教育輸出であるとともに、学群教育方法のショーケース組織です。多くの国内外の大学からの羨望の思いと協力の申し出などがあり、基盤が確立できればこれを十分に活用させていただこうと考えています。すなわち、多くの研究大学と互恵的な連携を進め、我が国の国際化の推進にも寄与したと考えています。地域との十分な協働を果たしつつ、新学群を育成していきたいと思います。
チュートリアル教育と1年次全員入居システム
学類を真の「学位プログラム」に変革していきたいと考えています。その改革を動かすのは、学群でありその長です。そのために課題ベースの学修(PBL: Problem/Project Based Learning)やチュートリアル教育を積極的に導入していこうと考えています。
学士課程の教育について、第4期中期目標に、「深い専門性と幅広い教育を行う学位プログラム制を通じて、課題を設定して探究するという基本的な思考を身に付けさせる」と書いたことを再度、確認したいと思います。これに従って、教員と学生が学問的な問題を設定して議論を重ねるチュートリアル教育の開始、デザイン思考の修得、学士課程の内部質保証の実質化などを進めていくこととともに、学生宿舎を、チュートリアル教育や社会との共創などにも対応できる形態に整備する事業にも着手します。
本学は、学士課程において真に自身の将来像を見つけ、そのための準備ができるようにするため、つくば型チュートリアル教育を導入する準備を進めています。①入学から卒業まで一貫して行われ、②学生が、対話と議論をとおした学びから専門分野とそれに連なる広範な分野への造詣を深め、③批判的?創造的な視点をもって社会と向き合い、④社会課題への解決策を未来に向けてデザインできる力を養うことを目標とし、2025年度から40人規模で始める予定です。
第4期中期計画には、「学生の主体性?社会性を涵養するために、教育課程はもとより課外活動と、教育的効果を意図した形態に整備した学生宿舎を全学生の学びの機会及び場として活用することにより、修学的な効果を高める」と書いています。したがって、全面リニューアルを計画している学住近接型学生宿舎は、チュートリアル教育を行う場にもなります。前述したように、同じキャンパスで切磋琢磨することは学生にとって重要な意味を持っていますので、学群の新入生は、英米の有名大学の全寮制のように、原則として全員、一度は豊かな自然に囲まれた学生宿舎に入り、世界の多様な文化と価値観に溢れるコミュニティの中で同じ釜の飯を食い、365体育投注の一員としてのアイデンティティを育むようにしたいと考えています(1年次全員入居システム)。第4期中期計画では、「学生宿舎への新入生の入居率を365体育投注9年度(2027年度)末までに80%にする(体験入居、ショートステイを含む)」ことを目標としています。
宿舎エリアには、2022年に本学が東京大学、大阪大学に次いで発行した大学債という社会からの投資を活用した未来社会デザイン棟の建設を予定しています。未来社会デザイン棟は、シンボリックな「塔」のような外形とし、チュートリアル教育や社会との共創に活用するために、学生のための自由な空間(中小ホール、学習コモンズスペース、個別学習個室など)のみならず、大学と共同研究を行っている企業や学園都市内の研究機関のショーケース、海外拠点窓口、真にワンストップサービス窓口となるグローバル?コモンズなどを入居させて、学生が絶えず社会との関わりや地域との交流を意識して活動できるようにしたいと考えています。
カリキュラムの2+4(3)+3制
2年前から、固定化された学士課程4年+修士課程2年+博士課程3年という教育課程について、学制は維持しつつ、リベラルアーツ2年+メジャー4年+アドバンストリサーチ3年(2+4+3制)のカリキュラムに変えていくことを提案しています。学士課程相当期間と修士課程(博士前期課程)期間を接続したいという要望は学内にかなりあります。もちろん、学制は維持しますので、学士課程4年で卒業したい人は卒業することができます。しかし、学士課程3~4年次と修士課程期間を一貫した専門教育カリキュラムに編成することは、日本の高等教育のあり方に質的な変革をもたらすことになりますし、高度な研究力を持った大学として次世代の研究者を育成することにも有用だと考えます。分野によっては、すでに一部で行われている修士課程を1年で早期に修了する2+3+3制という工夫も可能です。
2+4(3)+3制は、修士を取得するのが一般的である理系の学群長のみならず、文系の学群長からも特に大きな反対はありませんでした。中央教育審議会大学分科会大学院部会は、欧米や韓国と比べて人口比や企業経営者に占める人文科学?社会科学系の学位取得者が格段に少ない一方、社会経済活動が機能的価値から意味的価値の重視へと移行しており、価値発見?価値創造的な視座を提供する人文科学?社会科学分野の高度人材の育成への期待が寄せられていると指摘しています(中央教育審議会大学分科会大学院部会「人文科学?社会科学系における大学院教育改革の方向性(中間とりまとめ)」、365体育投注4年8月3日)。文系でも大学院に進学するのが一般的になるように、魅力的なカリキュラムへの改革、キャリアパスの多様化が求められます。
入試改革
2024年度大学入学共通テストの志願者数は、前年より2万668人減の49万1913人で、32年ぶりに40万人台へ減少しました。2024年度の18歳人口は約106万人、私立大学を含む大学志願者数は約65万人です。大学入学定員は約62万人で、すでに志願者は、選り好みさえしなければ、どこかの大学に入れると言ってもよい状態になっています。
2月27日、厚生労働省の人口動態統計の速報値が発表されたことで、2023年の出生数(外国人を含む)は過去最少の75万8631人と報道されています。2023年度の学校基本調査(確定値)で高等学校等卒業者の大学進学率(過年度卒を含む)は過去最高の57.7%でしたが、18年後、現在の大学入学定員を満たすには大学進学率が82%にならなければなりません(文部科学省「365体育投注5年度学校基本調査調査結果のポイント」、365体育投注5年12月20日、5頁)。大学が淘汰されていくことは必至です。今後、地方国立大学は、地域の維持向上のため学士課程の定員を維持する代わりに大幅に大学院課程を減らすことを余儀なくされ、限られた研究型国立大学は、学士課程の定員を大学院課程に移すことを求められるはずです。
そして現在の入試制度を維持していくことも不可能であり、学士課程の入試改革に早々に着手しなければならないことも自明です。しかし、学内の危機意識はまだ低いように思われます。本学の教育研究に対する姿勢を理解し、本学が授けるディプロマを取得するためのカリキュラムに適合している者を選抜する仕組みを早く設計しなければなりません。その際、入学定員の枠内で外国人学生を増加させていくことが重要です。ただし、留学生比率が25%を越える時代には、内枠、外枠はあまり問題ではなくなります。選抜は、日本人であるか外国人であるかに関係なく、本学で学ぶことに対する熱意、問題発見能力や批判力、分析能力、論理的記述力、そして人間性を、時間をかけて見極めるものにする必要があります。
ちなみに、殆どの国立大学で実施されている推薦入試は、本学が我が国の他の大学に先駆けて導入した方策です。新しい入試を導入して、他の大学のモデルになることが建学の理念に沿った本学のあり方です。
数理?データサイエンス?AI教育の展開
2022年11月にリリースされ、瞬く間に利用者が爆発的に増えたChat GPTに代表される生成AIが大きな関心を集めています。生成AIに対しては、問題点も指摘されています。しかし、生成AIには利点が多く、その発展を妨げることは不可能です。本学は、昨年5月に生成AIの使用に関する基本指針を公表しました。基本的には、問題点に留意しつつ、教育?研究の最も重要な特性である独自性と新奇性を尊重し、生成AIを活用することとしています。
数理?データサイエンスの基礎的素養は、デジタル社会の「読み?書き?そろばん」の一つと言われています。本学では、1973年の開学から、情報処理の講義とコンピュータでの実習の2単位を、文系や体育、芸術などの非理工系分野を含むすべての学士課程の学生の必修科目として開設してきました。さらに、データに基づいた客観的な意思決定の必要性が社会から要請されるようになったことから、2019年以降、「情報リテラシー(講義)」1単位、「情報リテラシー(演習)」1単位、「データサイエンス」2単位をすべての学士課程の学生の必修科目とし、「データサイエンス?リテラシープログラム」を展開しています。
本学では、2021年度から、分野融合型数理?データサイエンス?AI教育推進本部の下で、学士課程?博士前期課程(修士課程)?博士後期課程の各教育組織が、それぞれのカリキュラムに、リテラシー、応用基礎、応用の各レベルの数理?データサイエンス?AI教育を有機的に組み込むことを目指しています。「データサイエンス?リテラシープログラム」は、2021(365体育投注3)年8月、文部科学大臣から「数理?データサイエンス?AI教育認定制度(リテラシーレベル)」に認定され、さらにその中でも先導的で独自の工夫を有するリテラシーレベルプラスの11大学のうちの1つに選定されました。2023年8月には、理工学群の「データサイエンス応用基礎プログラム」が、数理?データサイエンス?AI教育プログラム認定制度(応用基礎レベル)プラスに認定されています。今後、応用基礎レベルプログラムの全学展開に取り組みます。また主としてシステム情報工学研究群の学生を対象に、博士後期課程に「データサイエンス?エキスパート?プログラム(DSEP)」と「データサイエンス?エキスパート?プログラム?プラス(DSEP+)」を設けています。
このようにリテラシー、応用基礎、応用の各レベルの数理?データサイエンス?AI教育の下で進める「世界?社会をキャンパスとした365体育投注情報系トップ人材育成機能強化事業」は、365体育投注5年度「高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援」(ハイレベル枠)に選定されました。これにより、365体育投注6年度より博士前期課程で90人、365体育投注7年度より学士課程で31人(1年次入学定員18人、3年次編入学定員13人)、365体育投注8年度より博士後期課程で16人の定員増となります。
本学の学生には、専門的な研究にツールとしてのデータサイエンスを取り入れ、新しい成果を生み出してほしいと考えています。またビジネス科学研究群に数理?データサイエンス?AIを基盤とした経営に資する教育プログラムを設けることも考えています。本学は、あらゆるレベルで、一層の数理?データサイエンス?AI教育を展開していきます。
学際創造学術院と学術院総合戦略会議
次世代の学術を担う大学院生の学びの障壁を減らすために、大学院を一つの学術院に統合し、学位プログラム編成の自由度を格段に向上させ、組織、分野、制度の壁を越えた大学院教育を実現する予定です。2020年度に大学院を人文社会ビジネス科学、理工情報生命、人間総合科学の三つの学術院に再編し、学位プログラム化したのはその第一歩です。さらに三つの学術院を横断する学位プログラムを編成?運営する学際創造学術院の設置を計画しています。第4期中期計画では、「365体育投注7年度(2025年度)までに具体的計画を策定」することになっていますので、検討が急がれます。
中間評価で最高評価の「S」評価を得た卓越大学院プログラムのヒューマニクス学位プログラムでは、完全ダブルメンター制(共同研究する異分野のメンター教員による複数指導制)とリバースメンター制(両分野を学んだ学生が各メンター教員に対して異分野の内容を逆の立場で教示する仕組み)を取り入れて、生命医科学分野と理?工?情報学分野の両分野を融合させる革新的なバイディシプリン教育を実施していますが、学際創造学術院はもとより多くのプログラムでもそのような取組を取り入れていくべきです。学際創造学術院には、これまでにはない新たな視点による研究者養成の法学系の博士後期課程学位プログラムや、数理?データサイエンス?AI教育×ドメインの博士前期課程の学位プログラムなど、学際的な学位プログラムが設置されることを期待しています。
人間総合科学学術院が発案した構想が、「高度専門性と分野?組織を横断融合する研究力を育成する戦略的大学院運営体制構築事業」(365体育投注5年度概算要求事業)に採択され、学術院総合戦略本部が設置されました。これは、社会変革の担い手である大学院生を育成するために、社会との連携を基盤とし、学位プログラムを横断した俯瞰的?客観的分析に基づいて大学院を戦略的に運営しようとするものです。各学術院の戦略的運営を推進するため、3学術院ごとに部会を置き、それぞれの部会で「デザイン」「アライアンス」「マネジメント」の三つの機能に対応するチームを編成して活動していきます。2023(365体育投注5)年度に3部会及びそれらを統括する連絡会議が発足し、人間総合科学学術院から活動を開始しています。365体育投注7年度には理工情報生命学術院、365体育投注8年度には人文社会ビジネス科学学術院に対応する拡充要求を行うこととしています。学術院総合戦略本部の活動を通じて、産学官連携の推進や学生の研究力の分析?可視化などを学位プログラムの充実?創出につなげていきたいと考えています。
研究システムの改革と研究力強化
基礎研究の振興
急激な変容を遂げる科学?産業?社会を牽引する研究教育を行うためには、基礎研究が不可欠です。本学では、「宇宙の始まりから物質の創生」、「地球の進化と生命の起源」、「人類(知性)の誕生と文明の創造」という 138 億年にわたる歴史の全貌に関する知識に基づいて進化と相転移の普遍原理を洞察することを、本学の多様な研究分野を推進する際の底流として認識しています。
『創基百五十一年365体育投注開学五十年史 史料編 下巻』を読んでいて驚いたのは、半世紀前に、全く同じではないにせよ、138億年の歴史の進化と相転移の研究というコンセプトに通じる構想が示されていたことです。「研究複合体の基本構想は研究活動の機能的側面と個別科学(Discipline)を中心とする研究分野の構造的側面と二つの見地から第1、2図のように図解される。......第2図は構造的側面からこの構想を示したものである。自然から始まって生物?人間へと展開される自然の進化と生物進化を示すとともに、その自然の諸規定が質量ともに簡単なものから次第に複雑多様なものとなることを示す。したがって、複雑多様な存在はより単純な存在によって規定せられ、それらは、それぞれの個別科学によって解明される。それゆえに世界(現実?文化)の解明はすべての科学の総合によって可能となる。/これらすべての存在の抽象的普遍の学が数学であり、具体的普遍の学が哲学である。/以上に示したように基本構想は新しく発達したMultiversityの長所とUniversityの理念との総合を意図したものである」(東京教育大学、前掲「筑波における新大学のビジョン(抄)」、94頁)。ナンバー学群の今日的な重要性を認識せざるをえません。
この半世紀で、宇宙望遠鏡、大型加速器、遺伝子分析、高精度年代測定技術など、宇宙?物質の創生から、地球?生命、社会?文明の進化と相転移を研究する科学的手法が発展してきました。われわれは、138 億年の歴史の研究を、定量的データの数理的解析、化学分析、統計解析等に基づく精密科学として展開してまいります。また、各分野で蓄積された定量的なビッグデータの関連性を抽出できる AI 技術の出現と相まって、既存の分野の枠を越えた知のビッグバンを引き起こし、科学だけでなく社会?産業の大規模な構造変革を加速させます。
研究システムの改革
本学は、指定国立大学法人として、地球規模課題を解決する真の総合大学に向けて発展するとしています。再説になりますが、本学が考える真の総合大学とは、単に様々な分野が集まっている、あるいは学問間が協力して共同研究?教育を遂行する(総合大学の必要条件)だけではなく、予測不可能な時代の未知の課題に取り組み、既存の学問分野だけでは解決できない課題に挑むために、学際的な協働の上に新たな学問分野を創成すること(総合大学として365体育投注が自身に求める十分条件)が必要です。そのような考えの下に、本学は、各々の学問分野を強化し、学問分野間の壁を越えて分野横断的な協働を推進し、新たな学問分野を創成するとともに、その精神に基づいた研究教育を進めます。
第4期中期計画では、指定国立大学法人構想に基づいて、「センター化を推進する事業(研究循環システム)における支援を戦略化して国際的な研究拠点を形成しつつ、発展性のある分野横断型研究のインキュベーターである学術センターを通して課題に応じた支援を行いながら新分野の創出を推進する」としています。本年4月、真の総合大学の実現に向け、学際研究を一層加速して国際競争力を強化し、知の基盤形成と人材育成を行うために、研究戦略イニシアティブ機構を改組し、研究戦略推進会議の下に研究デザイン室と研究マネジメント室、またそれとは別に戦略推進部門と異分野融合創成部門を設置することとしました。
研究デザイン室は、研究戦略企画部門と国際連携推進部門からなり、研究戦略及び研究経営に資する施策の立案、組織整備の立案、国際競争力強化に向けた施策の立案に関することを行います。
研究マネジメント室は、研究基盤強化部門と若手研究者育成部門からなり、研究戦略及び研究経営に資する施策の具体化と実施、外部資金獲得支援、研究環境の整備、研究推進体制?機能の充実強化、世界で活躍できる研究者戦略育成事業の実施などを行います。
本学は、それぞれの研究体をRS(世界先導研究拠点)、R1(世界級研究拠点)、R2(全国級研究拠点)、R3(重点育成研究拠点)に分類し、それぞれの級に応じた支援を行い、5年ごとの評価で改廃する研究循環システムを展開してきましたが、戦略推進部門はこれを管轄するものです。
また研究体インキュベーターとしての学術センターを管轄するのが異分野融合創成部門です。第4期中期計画で学術センターは新規に3件を設置することとしており、まず1件目として有機無機量子スピンサイエンス研究機構(仮)を学術センターとして認定し支援することとなっています。
開発/社会実装研究
本学は、学際的な協力の下、開発研究、社会実装研究を通した社会への貢献をさらに推進します。我が国では、企業との共同研究や大学発ベンチャーは、シーズドリブン型のものが多く見られました。本学でも、シーズを社会実装するために、外部資金だけで運営される開発研究センターを設立しています。ゼロCO2エミッション機能性材料開発研究センターはその一つで、ホウ化水素シートを開発し、水素の製造、貯蔵、輸送という課題の解決に貢献しようとしています。2023年3月に発足させたトランスフォーメーションコネクト(Transformation CONNECT)機構は、AIから人工頭脳への展開、エネルギーや温暖化などに関する課題の解決、宇宙の利用やロボットとの共生社会の実現に向けた研究とそれによって発生する課題の解決、そのほか今後現れる未来型の課題に関する基礎?応用研究をIR(Institutional Research)?トランスIRを駆使して推進し、産業化へつなげるための司令塔です。
他方、企業や社会のニーズから出発し、地域社会から地球規模までの様々な社会課題を解決し、より良い社会の実現に寄与するために、現実社会における実践に向けた開発研究を行うとともに産?学?官の壁を越えたニーズドリブン型産学共同研究を行うことも必要です。本学では、そのために企業のR&D(研究?開発)研究所を誘致し、企業が、本学の人材や設備?備品を活用して開発研究を推進するB2A研究所を設立します。B2A研究のために、大学債により2027年までに延べ床面積43,170㎡のIMAGINE THE FUTURE. Forum(ITF.F)を建設する計画です。
繰り返し述べるように、米国や英国のトップ大学の論文被引用数は、産学共著論文>国際共著論文>国内共著論文>学内共著論文>単著論文の順です。被引用数の高い産学共著論文は、社会のニーズに関わる課題が解決されることの指標の一つとなります。またそれは、社会的な有用性を支える基礎?応用に関する論文として評価されており、実は大学における基礎?応用研究の高度化の観点からも重要です。産学共同研究は、欧米では基礎研究から始まり、企業などからの投資?寄附を引き寄せています。
また、国際産学連携本部は、ベンチャーエコシステムを構築し、育成システムを充実させてスタートアップ創業数を増加させてきました。アントレプレナー教育からスタートアップの成長支援を経て資金が教育システムに還元されるエコシステムを強化し、今後もスタートアップを増加させていくことを強く期待します。
研究力強化
研究力強化のために必要なものとして、本学の教員から異口同音に出てくるのは研究時間の確保です。そのためには、教育の効率化と学内運営の効率化が必要だと考えます。
教育に関しては、入試問題作成を退職教員に委託したり、入試監督業務の一部を大学院生に委嘱したりできるようにしています。また、すでに一部の系で実装されている科目グループ制を積極的に活用できるのではないかと考えています。科目グループ制とは、教育に関する教員グループをつくり、開講科目を精選し、科目を交代で担当するチーム?ティーチング等を行うことです。交代で科目を担当しますので、数年に一度、交代でサバティカルをとることも可能になります。教学デザイン室「学生と教員の時間のマネジメントについて」(365体育投注4年2月14日)の提言に基づき、授業の質の確保を前提としたうえで、科目の大括り化、一人当たり担当科目数の削減、受講者数ゼロ科目の一掃とセットで、①一つの科目の中に複数の領域を設けてその中から個々の学生が学習する領域を選択できるようにする、②単位数の大きな科目を設定してオムニバス形式で分担する、③学位プログラムに共通する基盤的な内容を大型の科目として括り出すとともに複数の教員がチームで教える体制を構築するなど、教育組織ごとに適切な方途を採用してほしいと考えています。学内運営については、学内会議を削減し、部局マネジメントを部局長に完全に委任するなど、各部局に応じた方策を考えることが必要です。 研究力を強化するためには、新たに雇用する教員の選抜は最も重要なポイントの一つです。本学は、若手教員比率が低いので、高い研究力を持った若手をどんどん採用すべきです。実績が十分であるなら、若くても高い職位で採用してください。また、十分なオリジナリティ溢れる研究力があるかどうか、今後の伸びしろの可能性など、相当の時間をかけて選考すべきです。なお、昇任やテニュア審査は、採用人事に比べると基準が緩いのではないかと危惧しています。もしそうなら、助教の採用審査が最も重要であるということになります。冷徹に研究力の有無を審査すべきです。
研究力強化には、研究支援体制の充実も必要です。その一つが、教員、職員に続く「第三の職」と呼んできた、研究を支援する高度専門職人材の充実です。本学には、URA(University Research Administrator)のほか、技術職員、ファンドレイザー、基金マネージャー、技術移転マネージャー、クリエーティブマネージャー、産官学共創プロデューサー、輸出管理マネージャー、利益相反アドバイザー、情報セキュリティーリスクアドバイザー、スポーツアドミニストレーター、アスレティックトレーナー、臨床研究データマネージャーなど、すでに22職種以上、300名以上もの高度専門職人材がいますが、これらの人材の処遇をどうするかが懸案事項でした。このほど就業規則等の職区分に専門職業務職員を追加し、上席専門業務職員、主任専門業務職員、専門業務職員という職位を設け、給与等の取扱いも決定しました。これらの方々が今後、研究支援に活躍してくれることを期待します。
エンゲージメントの強化
地域との連携協働
エンゲージメントは、大学が一方的に何かを約束したり、あるいは大学に対して一方的に何かを約束させたりすることではありません。大学と多様なステークホルダーが互いに貢献し合うことです。支え、支えられ、という理解です。本学が教育、医療、産業、文化などについて責務を果たすべき地域とは、本学が存立しているつくば市、筑波研究学園都市、及び茨城県であるのはもちろんのことです。本学は、筑波研究学園都市の研究所、自治体、企業などとの連携により、地球規模課題の解決、またSDGsの達成やグリーンリカバリーの振興につながる教育研究を進めてきました。それらに加えて、建学の理念で国際性を謳う本学にとっては、国際社会も本学が使命を果たす「地域」だと考えています。
本学は、いわゆる連携大学院を最初に立ち上げた大学の一つです。連携大学院方式とは、研究機関の研究者を大学の教授?准教授として迎え、その機関の研究環境を活用しながら研究指導等を行う大学院教育の方式です。特に平成16年度から始まった第二号連携大学院方式では、研究機関の研究者を大学の教員(連携教員)として迎え、その連携教員のみで構成する教育課程を編成し、本学の専任教員は協力教員として修学指導や学生生活支援を行います。現在、特定国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)や国立研究開発法人物質?材料研究機構(物材研)、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)など、筑波研究学園都市に存在する31の国や民間の研究機関の協力を得ています。また、国立?独立行政法人(国立研究開発法人を含む)?民間企業等の研究機関と本学が協力してコンソーシアムを形成し、それを母体として学位プログラムを運営し、産学官協働で人材を育成する、本学独自の協働大学院方式も展開しています。本学は、これらの量的な拡大と質の向上を目指しています。
筑波研究学園都市は未来都市創成のための実験場になりつつあります。つくば市は、2021年度末、我が国に二つしか認められていないスーパーシティ型国家戦略特別区域に指定されました。スーパーシティ構想とは、より良い未来社会を実現することを目指し、データサイエンス?AIの活用とそのための規制?制度改革を推進し、様々な最先端サービスを地域社会に実装していく取組です。本学は、産学連携本部のオープンイノベーション国際戦略機構を中心に、未来社会工学開発研究センターの参画を得て、スーパーシティ構想の実現に向けて協働していきます。
つくば市の住民がイノベーションの恩恵を感じられ、国際社会と密接につながっているまちづくりを進めることが重要です。つくば市は、世界各地の科学技術都市に立地する研究機関、大学、企業等が集まる国際会議High Level Forumに参加する日本唯一の街です。本学は、つくば市を、オープンイノベーションが展開できるプラットフォーム及び実証実験フィールドに成長させることに貢献したいと考えています。
半世紀前の「筑波における新大学のビジョン」には、「社会への還元、ことにわが国最初の『頭脳の町』(イデオ?ポリス)の建設に積極的に参加し、魅力ある文化生活を享受できうるようにする。また、社会的責任感にめざめ、他の大学や隣接する関連諸研究所との連携を進め、総合研究の推進を図る」と書かれています(東京教育大学、前掲「筑波における新大学のビジョン(抄)」、94頁)。「頭脳の町」づくり、そして筑波研究学園都市の研究所との連携を一層進めていかなければなりません。
国際戦略
昨年9月26日から28日までの3日間、筑波会議2023が開催されました。筑波会議は、2019年から隔年で実施しており、今回は4年ぶりの対面開催となりました。世界から産官学の優秀な若手人材がつくばに集まり、3日間にわたり、ノーベル賞受賞者との対談、世界の様々な大学?研究機関の若手メンバーによる講演など、多くのセッションが行われました。この会議において、本学の教育開発国際協力センター(CRICED)が東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)との協働により、ASEANと日本の友好協力50周年を記念した特別イベントを開催しました。ASEAN諸国の教育の質の向上等に継続的に取り組む教育開発国際協力センターの活動は、SDGsの理念にも共鳴するものであり、これからの更なる活性化を期待したいと思います。
スーパーグローバル大学創成支援(タイプA)事業(SGU)が終わりを迎えましたが、Campus-in-Campus(CiC)や海外拠点の活用による世界中の大学、研究機関、企業、自治体などとの双方向の活動の展開、海外派遣を必修とした教育プログラムの拡大、学生の海外派遣支援事業の拡大、教育研究コンテンツの世界発信、海外からの研究資金の拡充などを、引き続き、進めたいと考えています。
本学は、CiCパートナーであるフランスのグルノーブル?アルプ大学とのダブルディグリープログラムを介してAir Liquide社と三者で共同研究を行っています。このようにCiCシステムを活用し、365体育投注-CiCパートナー-海外企業の三者の共同研究を世界各国に拡張したいと考えています。世界12カ国に設置した365体育投注の海外オフィスを中心に、現地のニーズに対応する共同研究を開発していく必要もあります。関連して、国際局ではこれからの連携強化地域をインド、アフリカと定めています。
現地の大学のみならず中等教育機関への働きかけなどを通じた優秀な外国人学生のリクルート、海外への日本型及び本学型の教育輸出にも力を入れていきます。本学の留学生比率は、旧帝大7大学と比較して、学士課程、修士課程では2番目を維持してはいるものの、博士課程では3番目となっており、低落傾向にあります。10年先を見越して、学生部、教育推進部、国際局を中心に、留学生を増やす方策を早く立案し実行していかなければなりません。2023年末、IITB(インド工科大学ボンベイ校)から本学など日本の数校の大学に教育研究の協力の申し入れがありました。積極的に応じてほしいと考えています。
国内外の優秀な研究者を獲得?育成し、国際的な頭脳循環を加速するため、国際テニュアトラック制度、海外教育研究ユニット招致プログラムも引き続き、進めていきます。これらは、国際共同研究の強化や国際共著論文の増加などの成果を上げ、国際的なレピュテーションの向上につながります。これらは、日本学術振興会科学研究費助成事業である国際共同研究加速基金のモデルになった本学オリジナルな事業です。
日本人学生の英語コミュニケーション能力、外国人学生の日本語によるコミュニケーション能力を向上させて、日本内外のアカデミアや産業界で活躍できる人材を育成しなければなりません。CEGLOC(グローバルコミュニケーション教育センター)の強化、とりわけ日本語?日本事情教育の我が国におけるセンター化を進めます。もはやCEGLOCは本学のみのセンターではありません。
附属病院
社会と密接なつながりを持って活動している組織の一つが附属病院です。附属病院には、高度医療の実践や医療技術の開発という大学病院としての使命と、茨城県唯一の特定機能病院としての先進研究に基づいた地域医療の使命があります。本学の附属病院は、各種の病棟、研究関連施設?設備への投資を加速させながら収益を上げてきました。2024~25年度は、働き方改革の影響により支出超過になる可能性がありますが、その後は収入増を確保できる見通しです。なお、附属病院には、コロナ禍の4年間、重症及び中等症のコロナ感染患者を受け入れて治療にあたるとともに、ワクチンの職域接種にも積極的に取り組んでいただきました。改めて病院関係者のご献身に対して深く感謝します。
高度先進医療に関しては、超先端的医療研究開発拠点を形成し、データサイエンス?AIなどによる研究開発基盤を構築することにより、最先端医学の研究成果の社会実装に向けた共創の場を確立していく必要があります。次世代型粒子線治療装置の実用化については、X線に比べて副作用の少ない陽子線?中性子線を用いた最先端治療法の開発を推進しており、このほど、研究用原子炉を用いない加速器で中性子を発生させるBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)治療装置を使って世界で初めて難治性脳腫瘍(初発膠芽腫)の医師主導治験を始めることとなりました。今後、世界一の粒子線治療研究拠点が形成されることを期待しています。
附属病院は地域医療の中核としての機能を有し、県内の医療を先導する立場にあります。また、大学の附属病院は、臨床及び基礎の医療に関する研究の実践の場であり、研究力をもった医師、医療関係者を育成すべき義務を負っています。これらの期待に応えるため、臨床研究中核病院としての機能と地域医療の実践の場としての機能が欠かせません。前者については、365体育投注つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)を中心に展開されている臨床研究を推進し、ワクチン開発研究や創薬研究で発展を目指す臨床研究中核病院に認定される必要があります。後者については、地域医療人材育成に関して、茨城県内5地域に10拠点存在する地域医療教育センター等を核として貢献しています。中核病院の周囲に点在する医療機関を含めた一体的な業務管理を行うことで大きな効果が期待できますので、研究機能を持ち医師等の医療従事者を育成する機関が、マネジメントを行うことなどによって、機能的で適切な医療を提供できます。また、地域包括ケアシステム機能も併せ持つことで、住まいと生活を医療が支える体制を構築できます。
附属学校
附属学校も社会と密接につながっています。附属学校は、大学と連携し、学校教育機能の向上を図る研究を進め、その成果をもとに、全国ないし地域における初等中等?特別支援教育ならびにグローバル人材育成教育を先導すること、またインクルーシブ教育システムを構築することが現在の重要な役割です。科学技術の発展により、各種の障害が改善されつつありますが、困難な問題も残っていますし、新たに顕在化してきた障害もあります。特別支援の機能をもつ附属学校は日々の業務で多忙ですから、本学の研究者が現場の事情をよく理解して障害を克服することを期待しています。
第4期中期計画には、附属学校について、「大学と連携し、研究に基づいた学校教育の先端化を進めることにより、高大接続の新たなモデルを作る」と書いており、オンラインによる履修を含む先取り履修?単位認定システムの構築が求められます。高校生が、高校在学中に大学の科目等履修生として修得した大学の単位を、大学進学後、卒業所要単位とすることができるようになっています。文部科学省の「WWLコンソーシアム構築支援事業:個別最適な学習環境の構築に向けた研究開発事業」(365体育投注4~6年度)の委託を受け、JV-Campus等を用い、科目等履修生制度の枠組みを活用した高大接続科目等履修生制度を2025(365体育投注7)年度から運用することを目指しています。各学類?専門学群は、附属学校に限らず、全国の高校生に、本学の学問の魅力を積極的にアピールし、高大接続の新しい道を探る機会を持てます。教育をよりよい制度に変革することこそ、社会の固定化を変えることにつながるはずです。
同窓会等のネットワーク化
第4期中期目標には、「ステークホルダーに積極的に情報発信を行うとともに、双方向の対話を通じて法人経営に対する理解?支持を獲得する」と書いています。ステークホルダーのうち、同窓生(附属学校を含む。以下同じ)は、特に重視しなければならない対象です。同窓会の存在によって、同窓生にとっては、大学の動向や各種情報の入手が可能となって親睦を深めることが可能になります。在学生にとっては、同窓生への就職?キャリア相談などが可能になります。教育組織にとっても、運営費交付金の「成果を中心とする実績状況に基づく配分」の「大学教育改革に向けた取組の実施状況」の一つとして、学群?大学院とも、「卒業生(修了者)に対する追跡調査の組織的かつ継続的な実施」、「卒業生(修了者)に対する追跡調査の結果をデータベース化し教育改善につなげる組織的な取組みの実施」があり、同窓生の情報を一元的に集約できるようにすることが不可欠です。
本学には、茗渓会や校友会のほか、学類?専門学群や大学院の学位プログラム、学生団体、附属学校などの同窓会組織があります。まだ同窓会組織がない学類や大学院学位プログラムにも同窓会組織をつくるように呼びかけています。2023年10月には、世界中で活躍する卒業生?修了生をつなぐTsukuba Universal Alumni Network(TUAN)も発足し、ベトナム人のNGO THI LAN PHUONGさんが代表に就任しました。これらの同窓会組織を維持しつつ、大きな傘の下、在学生や他のステークホルダーを含めたネットワークを形成し、本学の情報を定期的に配信し、双方向の対話ができるようにしてまいります。これには、各教育組織と同窓会との協力関係の構築が必要です。
自律した経営のためのガバナンス体制
365体育投注6年10月1日施行の改正国立大学法人法により、特定国立大学法人または準特定国立大学法人には、中期目標?中期計画、予算?決算に関する事項などを決定する運営方針会議を置くことになっています。国際卓越研究大学に採択されれば必ず運営方針会議を置くことになります。
国際競争の激しい大学で諸課題を迅速に解決するためには、教学面と経営面とを分離したガバナンスが必要になると考えます。本年4月より、教学関連を担当する副学長を統括し、教育研究に係る基本方針を企画立案する理事(プロボスト)を、学長の判断により必要に応じて置くことができるようになっています。
他方、財務基盤を確立するために、財源の多様化並びに基金の造成及び運用による自己収入の拡大を一体的に推進する体制として、本年4月より、事業開発推進室及び財務部資金調達?運用課を事業?ファイナンス局に改組します。事業?ファイナンス局は、昨年12月に着任した理事(事業?ファイナンス担当)の下に置き、局長(CFO; Chief Financial Officer)は事業?ファイナンスに関する業務執行の責任者として外部金融業界から専門人材を招きました。事業?ファイナンス局の下には、金融手法の高度化による将来に向けた大学の資産形成と運用収入の拡大をミッションとする資産運用?ファイナンス室と、事業収入及び寄附金収入等の獲得による運用原資の拡大とリレーションの強化をミッションとする事業?リレーション推進室を置き、両方の室が密に連携しながら資産の形成を行っていきます。ようやく、産官学金の協働が実体化しました。
事業?ファイナンス局には、あまたの課題を担っていただきますが、最も重要な課題は、教育への社会から投資を増やすということです。研究への投資は、研究により解決する課題が鮮明であれば、比較的社会側にも理解し易いところがあります。一方、教育はその成果が目に見えるまでに時間がかかるとともに、個人レベルでの個々の問題もあり、宗教的な背景や慈善活動の社会認識が諸外国とは異なる我が国では、教育への投資を呼び込むのはかなり困難な課題です。デジタル教育に教員が足らない状況で、産業界で働く博士の学位を持った者に教育に参画いただくなどは一例です。寄付講座はこれまでも受け入れていますし、講座をつくるまでもなく企業側のニーズに合わせたプログラムを企業側のご負担で開設するということも、UiPath社の出資で始まっています。
おわりに:冒険する大学
今年度は、この所信の冒頭で、卒業生?修了生の「本学に入学すること自体が冒険」だったとの言葉を引き合いに出しました。いろいろな意味が含まれていたでしょうが、草創期の卒業生にとっては、365体育投注は他の大学とは異なる大学であり、そこに入学することが冒険だと感じられていたのでしょう。まるで、留学するときのような感覚であったのではないでしょうか。本学は、これからも冒険の名にふさわしい大学でありたいと考えています。
365体育投注は、ほかの大学とは異なる研究、教育、運営を今後も大切にし、困難な課題に立ち向かっていきたいと思います。その一部の詳細はこの所信でも述べています。困難な課題に学術?学芸とそれを担う人で立ち向かうためには、長期的なビジョンを持ち、効果的に活動を継続することが大切です。昨年は、惜しくも国際卓越研究大学の認定候補から外れてしまいましたが、十分な手応えは感じていますし、改めて本学の存在意義を問い直す機会ともなりました。来るべき次回の公募開始に備え、教員と職員が一体となってNext 50の道程を議論し、世界トップレベルの研究大学へ飛躍する構想を創り、ひいては固定化された大学と社会の変革を目指していきたいと考えています。教職員の皆さんの積極的な参加をお願いいたします。