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災害時のエネルギーレジリエンスを定量的に評価する手法を開発

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(Image by Bilanol/Shutterstock)
 近年、地球温暖化や自然災害の頻発化に伴い、低炭素かつ災害に対してレジリント(回復力のある)なエネルギーシステムの導入が重要となっています。本研究では、建物ごとのエネルギーシステムに対して、災害時におけるレジリエンスについて、複合的な定量評価手法を開発しました。

 地球温暖化に伴い、太陽光発電等の分散型再生可能エネルギーシステムの導入が進んでいます。一方、自然災害や豪雨による大規模停電の頻度も増加しており、災害に強いエネルギーシステムの開発が求められています。近年、太陽光発電や蓄電池システムの経済性や耐障害性は広く研究されていますが、建物レベルでのエネルギーシステムの回復力(エネルギーレジリエンス)評価はあまり進んでいません。エネルギーレジリエンスには、停電時間やその量、回数等の多様な側面があるため、包括的かつ定量的な評価には、複数の指標を採用することが必要です。

 本研究では、複数のレジリエンス指標により、太陽光発電と蓄電池を備えたポジティブ?エネルギー?ビルディング(PEB; 発電量と電力消費量の差がプラスになる建物)の停電シナリオをシミュレーションし、エネルギーレジリエンスを定量的に評価する手法を開発しました。さらに、さまざまな気象条件がレジリエンスに与える影響を分析した結果、エネルギーレジリエンスは、停電発生時間が日照時間と重なる場合に最も高くなることが定量的に明らかになりました。

 本研究結果から、エネルギーレジリエンスを評価する際、複数の指標を組み合わせることで、災害時の電力需給状況を詳細に把握し、比較できることが示されました。この手法は、今後のエネルギーシステムの設計や災害対策において有用であると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注システム情報系
秋元 祐太朗 助教

掲載論文

【題名】
Assessment Methodology for the Resilience of Energy Systems in Positive Energy Buildings
(ポジティブ?エネルギー?ビルディングにおけるエネルギーシステムのレジリエンス評価手法)
【掲載誌】
e-Prime - Advances in Electrical Engineering, Electronics and Energy
【DOI】
10.1016/j.prime.2025.100908

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